Ryuji Moriyama  Artist Statement  English

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「開けゴマ!」

 

                                                                             

 

私の作品に多く使われる四角が初めてが現れたのは

 

1980年代始め頃です。

 

私は一人暮らしのアパートで作品と向き合って疲れ切り、

 

何気なく玄関に目を向けて板で補修してあるドアにインスピレーションを受けました。

 

ドアはガラスが壊れて補修のため板が2枚貼ってありました。

 

絵の中の二つの四角は現実には2枚の補修板でした。

 

 

 

ドアは前に立ちふさがるものであると同時にむこうへ行く通り道でもあります。

 

私は絵画に人々が向き合う時、目の前に立ちふさがると同時に一つの世界に導くものであってほしいと願いました。

 

ただ立ちふさがるだけでもなく、ただイリュージョンを提供する為の道具でもない物を私は目指しました。

 

言葉では表さないにしてもこの命題は私の制作の指針であったのかも知れません。

 

 

1990年代からは作品のモチーフとしてひとつの帯と二つの四角を選んできました。

 

それは絵と正面に向き合うために生まれたものです。

 

中心のあるシンプルな絵画表現は

 

率直に語りたいという思いの表れです。

 

 

 

絵画に中心的な要素があれば視覚はまずそれに引付られ、

 

そして画面全体に及び、中心的要素とその周辺、さらに画面全体とを行き来することが出来るので、

 

眼差しを瞬時にひきつけ、かつ見ることの持続性が生まれると考えたからです。

 

 

 

また画面を長く見つめているうちに画面の四隅は次第に丸みを帯びてきました。

 

それは視覚的欲求であり、また中心的要素のある画面の全体性を明確にするためです。

 

私は、単純であるからこそ強力な磁場を生み出すこのモチーフに向き合い、またそこから抜け出したい、

 

開放されたいという欲求の間で制作してきました。

 

 

色彩の変化や色彩同士の関係は私の興味を持続させて

 

います。

 

 

 

絵画制作には様々な要素が含まれています。

 

材料の選択。色の調和。形とリズム。部分と全体。

 

そして、それらによって誘発される感情など

 

 

 私は絵画制作の具体的な問題に向き合うことは、

 

日常生活と無関係ではなく、この世界の様々な外観や

 

秘密を経験することだと考えています。

 

 

 

何故なら、それらに具体的に取り組むことは、自分の

 

感覚と思考がこの世界に直接触れる体験だからです。

 

 

 

私が言う問題の解決とは、これらの要素が相互に有益

 

であるということです。

 

それはそれらの要素が画面の上で息づくということです。

 

画面が息づいて、見る人が生きることの歓喜を思い出す時、

 

この 世界の理解(秘密)に至る道がひらけてくると思います。

  

 森山龍爾

 

     

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